アニメ制作進行でつらかった思い出は?

こんにちは、凸森です!今日は私のアニメ制作進行をしているときにつらかったことをBest5を発表していきたいと思います!

おおっ!これは一回聞いてみたいと思ってた!楽しみです!
第5位 スケジュール通りにいかない…

第5位は「スケジュール通りに制作が進まない」です。

え?でも、前の「制作進行の仕事内容」を紹介してくれた記事の中で、制作進行さんがスケジュールを立てるって言ってなかったっけ?


そうなんですけど、、この最初に組んだスケジュール通りに進んだことはほぼないかもしれません…

え!?そうなの!?

やはり、アニメというクリエイティブな要素が高い素材については、クリエイターのクオリティアップへのこだわりが強くなってしまい、どうしても想定以上の時間がかかってしまうことが多いのです。

なるほどね…確かに、妥協したものを作りたくはないって気持ちはわかるけど…

なので、制作進行に求められるのはクオリティとスケジュールの折り合いの調整なのです。経験のある制作進行は、現状のスケジュールから以下にクオリティを落とさない方法をクリエイターに上手に説明でき、クオリティとスケジュールをうまく調整することが出来ます。
ただ、経験が浅い頃の私は、このあたりのさじ加減がわからず…うまく調整することが出来なかったんですよ…

なるほど。このあたりのクリエイターとの交渉にあたり、アニメ制作進行さんには高いコミュニケーション能力が求められそうだね。

まさにその通りで、コミュニケーション能力がそこまで高くなかった私は、この辺の勝手がわかるまで苦労しました…
第4位 原画マンが見つからない…

第4位は「原画マンがみつからない」です。

これは、具体的にはどういう状況かな?

前の記事に、詮索進行はコンテを受け取った後に原画発注をするために原画を探すですが、その原画発注先が見つからない状況のことを指します。


やっぱり、アニメーターの方々って数が少ないの?

いえ、アニメーターの方は沢山いらっしゃいます。しかし、昨今アニメは1クール(1分の4半期のこと)に50~60本放送されており、かつ次クールや次々クールのアニメも動いているので、大体100本くらいのアニメ制作が常に並行して動いている状況の中では、アニメーターは常に仕事を複数抱えている状況です。

そっか…それだとなかなか仕事をしてくれるアニメーターさんを見つけるは難しいのか…

もちろん、原画をお願いする際に余裕があるスケジュールであったり、前々からお声かけしていたアニメーターさんだったら、スケジュールを空けてくれたりもしてくれます。しかし、スケジュールに余裕がなかったり、急な原画のお仕事の相談だったすると、作画マンに仕事をお願いする難易度は格段に高くなります。

なるほど。スケジュール不足は仕方ないかもだけど、加えてそれに向けての準備が不足していたら、原画さんを見つけるのは難しいってことだね…
そういう時、凸森くんはどうしてたの?

自分の知っている原画マンの方々にかたっぱしから電話しました。1日で50~100人くらいの原画マンに電話したこともあります。

やっぱり、それくらいやらないといけないんだね…

さらに、私の場合は電話だけに飽き足らず、twitterやFacebookなどのSNSから原画マンの方を探して、仕事の依頼することさえありました。

すごい!それで、成果は出た?

やはり大半は断られましたが、それでも何人かの方は話を聞いてくださって、原画のお仕事を受けてくれたことがあります!!
その折は、涙が出るほどうれしかったのを覚えています…
SNSからのお仕事依頼にお話を聞いてくれた方々、そしてお仕事を引き受けてくれた方々本当にありがとうございます…!!!!!!!!!!!!
第3位 早朝の撮影入れ…

第3位は「早朝の撮影入れ」です。

これは…どういう風につらいの?

納品が近くなってくると、撮影のために本素材(カット袋)を撮影会社に提出する必要があります。これがなかなか厳しいのです…理由としては、
①1作品に約200~300カット存在するので、これだけのカット袋を納品するのは物量が多い
②しかも、撮影会社には本素材データも納品したうえでカット袋を納品する必要がある
③1カット1カットが重たいデータを整理してデータ送信したあとは仮眠を取りたいのに車を走らせてカット袋を運ばないといけない

あぁ、「仮眠取りたい!」ってときに、これをやるのはつらいね…

しかも、5~10カットのカット袋とかでしたらいいですけど、30~50カットと量が増えると、カット袋って色々な紙が入っててすっごく重たいんですよ…
第2位 中国の旧正月…

第2位は「中国の旧正月」です。

え?これはどういうこと?

1月の末ごろから2月の中旬まで、中国では旧暦の正月にあたる”春節”に大型の連休に入るんです。現在放送されているアニメの約70%は中国の会社に動画と仕上げ作業を外注しているんです。

ということは…もし中国の人がみんなお休みしちゃうと…

はい、動画と仕上げを中国に外注できません…これがつらいんです…

でも、日本でも動画や仕上げの作業ってできないの?

もちろん、できます。ただ、旧正月の時期はみんな国内の動画マンに仕事を発注するため、すぐにキャパオーバーに陥ります。しかも、中国だと500枚~1000枚単位でも24時間でUPしてくれる(中国のマンパワーがなせる技です!)んですが、国内だとそこまでのマンパワーがないため中国の1/10の単位の仕事しかお願いできません..

そんなに違うんだ…

会社によっては、単価2~3倍で旧正月中でも動画・仕上げを受けてくれる中国の会社もありますが、、それでも足りません…

そうだよねぇ…

また2020年の春アニメはコロナの影響で多くの作品が放送延期になりましたが、当時中国でのコロナ拡大の影響で中国の動画・仕上げ会社が全く稼働できなかったことが大きな原因だったんです。

そうだったのね…!!それは無理ないよね…
第1位 原画が…

第1位は「原画が上がらない」です。

第5位も似たような内容だったから、これはイメージしやすいね。

色々なセクションから「上がらない」ということはアニメ制作には付きものなんですけど、特に原画が上がらないというのは特に多くて、そしてつらいですね…

今までで、一番つらかった原画の上がらないエピソードはある?

とある作品で、アクションのシーンがあったんですけど、その部分をすごい上手だと業界内で定評のある原画マンの方に仕事を依頼して、OKしてもらったんです。
しかしV編1ヵ月半前まで、レイアウトが1カットも上がらず…
その日から深夜1時くらいから朝まで、ずーーーーーっと1時間おきに進捗確認のSMSメッセージを送り続けてました。また、上がったらすぐ回収できるように、その原画マンのご自宅近くのコンビニに車を停めて、車の中で朝までずーーーーーーーーっと待っていたこともあります。。

えぇ…それで最終的に原画は上がった?

上がりました!!!!V編前日に…

え!?!?!?!?!?!?!?V編前日って…納品前日ってこと!?

そうなんです…

かわいそう…

ありがとう…でもその上がった原画は、感動的に素晴らしい上がりでした…しかも、通常レイアウト上がりは原画作業という清書作業が発生するのですが、それは原画作業を必要としない、“直原”という状態で上がってきまして、なんとかV編に間に合いました!

すごい!つらい経験だったかもしれないけど、ちゃんと報われたんだね!!
最後に

今回の内容はいかがでしたでしょうか?

噂には聞いていたけど、やっぱりアニメを作るって想像以上に大変なんだね。。

うん、やっぱり一筋縄ではいかないね。でも、つらいことだけではなく、楽しい面もたくさんあります!今度は「アニメ制作進行をやっていて楽しかった/よかったと思えた瞬間Best5」をまとめたいなと思います!

うん!!その話も是非聞いてみたい!!楽しみにしてるねー
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